「里野村名物のイッキョクだよ」
畑に囲まれた里野村では欠かせない決まり文句があった。
「イッキョクもらおう」
そんな噂話を聞いた旅人は、音楽にとても興味があり、
旅仲間や色々な村の人々に聞いて、なんとか里野村まで辿り着いた。
そんな里野村では、評判通りに楽器を持った人であふれかえっていた。
旅人は早速、楽器を持つ村人に決まり文句の「イッキョクもらおう」と話しかけるが、
「はい。なんのことじゃ?」と濁されてしまった。
旅人は、少し単刀直入すぎたかな、と反省し、
この里野村では「イッキョクもらおう」が有名になっていると村人に説明すると、
「ほぉ。イッキョクならあの店で受け付けているぞ」と村人は喜んで教えてくれた。
旅人は早速、その店に入り店員に「イッキョクもらおう」と叫んだ。
店員は大声にビックリしたが、オーダーを理解してくれたのか、奥に引っ込み何かを持ってきた。
「はい。イッキョクだよ」
旅人の前に出されたのは、小さな白い球根だった。
旅人は「なにこれ?」と尋ねる。
「里野村名物の野菜のイッキョクだよ。香辛料の一種さ」
旅人の故郷では、それはラッキョと呼ばれるものだった。